セリフサービス
タイプ
 「当店ではお客様のお好みに合わせて、
いろいろなタイプをご用意させております。
 タイプを選択いただけましたら、
そのメニューに書かれているままお読みください。
 当店では一切私語は禁止となっております」

 「あのーシゴって何ですか」

 「バカヤロー死んじゃいけないんだぞー」

 「ち、違いますよね」

 「はあ、えーと、私語禁止とはですね。
 個人的な余計なおしゃべりは禁止ということです。
 ご理解いただけましたか?」

 「うーん、個人的な余計なおしゃべりってなんだ?」

 「だから、個人的に無駄口たたくなということだよ。
 授業中と一緒だよ。
 僕は頭がいいのでだいたいわかりました。
 とにかく、余計な話しはしないで、
飲んで食べ続けろということですよね」

 「えー、それに近いですね」

 「しゃべんなきゃいいのかよー?」

 「いえ、私語は禁止ですが、
メニューのとおり、
おしゃべりいただくのは結構です」

 「なんだかめんどくさいぞー」

 「タダなんだから、
しょうがないだろう。続けてください」

 「では、タイプをご選択いただきます」

 その店員は、事務的に笑うと、
さらに話しをすすめた。
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