カミサン伝説「山手線編ドバイバージョン」
 すると、

 男は笑い返すこともなく

険しい顔になって考え込んでしまった。

 女が完全に駄目だと

あきらめ気味のときに東京駅が近づいてきた。

 女は思わず

 「次は東京駅ですよ」と教えてしまい、

その後、こちらから声をかけてしまったと悔やんだが、

 男は
 「もう東京駅だすか。

でも、そんなにお金も時間もかかるだすなら

やめることにするだす。ありがとうだす」

と言って席を立つと、

 頭をぺこりと下げ、

東京駅に着くと同時に山手線を降りてしまった。

 がっかりしてる女の横に、

 今度はごく普通の女が座ってきた。

 
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