くちづけのその後で
「ありがとうございました」


しばらくすると、治療を終えた西本君が診察室から出て来た。


「もう少しお待ち下さいね」


あたしが声を掛けると、彼はニッコリと優しい笑みを浮かべた。


そんな西本君の表情に、一瞬だけドキッとしてしまって…


また慌てるハメになったあたしは、咄嗟に彼から視線を逸らした。


今のは、別に西本君にドキドキした訳じゃないし……


心の中で自分に言い聞かせるように呟いた後、診察室から彼のカルテを持って来た。


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