くちづけのその後で
「この間はごめんね……」


あたしが先に謝ると、西本君は目を見開いて驚いたような表情を見せた後、気まずそうな笑みを浮かべた。


「俺の方こそ、嫌な思いさせてごめん……」


彼はすごく反省したみたいで、声が沈んでいた。


「ううん……。あたしもさすがに言い過ぎたし……」


そう言って西本君を見た後、眉を寄せて小さく笑った。


しばらくの間、彼は黙ってあたしの顔を見つめていたけど…


程なくして小さなため息を漏らし、ゆっくりと口を開いた。


< 143 / 808 >

この作品をシェア

pagetop