くちづけのその後で
「今日、何で遅刻して来たん?」


あたしが訊くと、西本君はバツが悪そうな顔になった。


「……やっぱり怒ってる?」


「別に怒ってへんけど、何でかなって思って」


「昨日の夜、朱莉さんと海斗の事考えてたら眠れんくてさ……。朝方になってやっと寝て、起きた時には約束の時間やった……。ごめんな……」


控えめに答えた西本君は、最後に謝罪の言葉を付け足してから自嘲気味に笑った。


正直、からかわれたのかと思っていたあたしは、彼の言葉に安堵していた。


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