くちづけのその後で
閉園前だからか、観覧車は待ち時間も無くてすぐに乗れた。


あたしの隣に座っている海斗は、外の景色を見てはしゃいでいた。


そんな海斗を横目に、視界に入った手摺(テス)りを掴む。


「……朱莉さん」


「ん?」


西本君を見ると、彼はクスッと笑った。


「もしかして、高所恐怖症やったりする?」


「えっ……?」


「いや、だってさ……」


西本君はそこまで言った後、今にも笑い出しそうな顔であたしの手元に視線を遣った。


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