くちづけのその後で
「めっちゃ早かったやん!」


麦茶とたっぷりの氷が入ったグラスを手渡すと、颯斗がニッコリと笑った。


「うちは、夏はシャワーだけやからな。俺、シャワーは10分も掛からんねん」


「そっか」


颯斗から、微かにシャンプーの香りがする。


シトラス系の香りかな……?


あたしの好きな爽やかな香りが、心を穏やかにしてくれた。


颯斗は敷いておいた布団に視線を遣ってから、あたしを真っ直ぐ見つめた。


そして彼は、優しい笑みを浮かべながら口を開いた。


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