くちづけのその後で
「そろそろ行く?」


それから2時間程して、颯斗が訊いた。


あたしは小さく頷いた後、ソファーから立ち上がった。


「そろそろ失礼します。色々とありがとうございました」


「いや。また、いつでも遊びにおいで」


「ありがとうございます」


控えめに言った颯斗の父親に、笑顔を向けながら頭を下げた。


「もしよかったら、今度パウンドケーキの作り方教えて貰える?」


「あたしでよかったら……」


笑顔で頷くと、颯斗の母親が嬉しそうに笑った。


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