くちづけのその後で
季節が秋に移った、10月中旬。


木々の葉は紅(アカ)く綺麗に色付き始めたけど、あたしの心の中はずっと曇ったままだった。


あれから、颯斗からの連絡は一度も無かった。


もちろん、あたしからも連絡はしていない。


何度も携帯を手に取って、颯斗の名前を画面に表示したけど…


やっぱり、発信ボタンを押す事は出来なかった。


ただの意地……?


そんな風に思ってしまう事も、何度かあった。


それでも、あたしは絶対に自分から連絡をするつもりは無かった。


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