くちづけのその後で
1ヶ月振りに聞く颯斗の声は、相変わらず愛おしくて…


ほんの一瞬で、あたしの涙を外へと誘(イザナ)った。


颯斗……


そう呼びたいのに、喉元が熱くて声が出ない。


「朱莉……?」


電話の向こうでは、少しだけ不安そうな颯斗があたしの事を呼んでいる。


それなのに…


すごく苦しくて、上手く返事が出来ない。


「朱莉なんやろ……?」


「うん……」


颯斗に優しく訊かれて、あたしはやっと声を振り絞って返事をした。


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