くちづけのその後で
「あたし……大切な人を失うのはもう嫌……」


「朱莉の笑顔の為なら、俺はずっと傍にいる」


震える声で呟くと、颯斗が力強く言った。


「はや……」


「忘れんな」


颯斗はあたしの言葉を遮った後、あたしの体をさっきよりも強く抱き締めた。


「約束して……。あたしよりも……先に死んだりせぇへん、って……」


「うん……。約束するから」


颯斗は囁くように言いながら、あたしからゆっくりと体を離した。


ねぇ、颯斗……


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