【短】雪の贈りもの
けれど、男性目線の小説については、正直迷った。

雪男さんを信用していないわけではない。

短い期間だけれど、毎日会話を交わしていた雪男さんに、私は心を開き始めていたのだから。

雪男さんなら、きっと素敵な物語に仕上げてくれるだろう。

そして、雪男さんを通して男性の気持ちを知りたいという思いも少なからず自分の中に存在していた。

けれど、プリンの彼の気持ちを、違った形で書き記してほしくはない。

彼の気持ちは彼にしかわからないのだから。

迷った挙げ句、私はこう返事をした。

『雪男さんが書きたいと思われたのはとても素敵な事だと思いますし、私もぜひ雪男さんの書く小説を読ませていただきたいと思います。

でも、私の話は本当に先が見えないものなんです。

完結する予定もなければ、もしかしたらこのまま更新せずに終わってしまうかもしれません。

そのようなものに合わせて書かれるよりも、雪男さんは雪男さんの小説を書かれた方が、ずっと素敵な物語が出来上がるのではないでしょうか?』

返事はまたすぐに来た。

『僕は雪子さんの小説に感銘を受けて、書きたいと感じたのです。

いいものを読者に提供したいと言うよりは、ただ単純に“書きたい”という想いなのです。

そして、雪子さんのお話を読んで、雪子さんがまだ見えていない部分があるように感じたのです。

それは僕の想像に過ぎないのですが、男性として、男性の気持ちを雪子さんにもう少し知ってもらいたいと思いました。

ダメでしょうか?』


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