赤ずきんと狼。
「そんな安いのじゃインクが滲み過ぎて扱いにくいぞ?」
飯田がすぐに指摘する。
そんなのただの紙じゃねーか。
変わんねーだろ。
「でも、安いのしか買えないし…。」
「買ってやる」
そう言って、白杉の手に持つスケッチブックを置き、
いかにも高そうな他のスケッチブックを取ってレジに向かった。
そして、会計が終わり、袋に入ったスケッチブックを白杉に渡した。
「大事に使えよ」
「…ありがとう」
っち、見たくないもの見ちまった。
俺は不機嫌になり店を大股で出ていった。
「もぉー、なにやってたの?プレゼント買っちゃったよぉ。」
上目で頬を膨らませる千恵美に耳打ちをした。
千恵美は頬を赤らめてうなずく。
結局、俺もこいつも相手を利用しているんだ。