赤ずきんと狼。


「償ってくれない?」


「え…」


「おいおいいきなりナンパかよー」


ケラケラ笑う男たち。


白杉がその場から立ち去ろうとすると、男の一人は白杉のカバンをつかんだ。



―その瞬間、俺はその男の頬を殴った。


店内に悲鳴がある。


「何しやがる!!」


仲間の一人が俺に殴りかかった。



俺はそれをよけて男の腹を殴った。



そして、もう残った一人の男にも腹にパンチをお見舞いしてやった。



「”痛い”っていうのは、こういうことだろ?」



男たちにそう吐き捨てて、白杉を見た。


白杉は目を見開いていて、俺から目をそらした。



…そうだよな、お前は俺のことなんて―。



俺は店内から出ていった。




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