赤ずきんと狼。
そこにぴしゃりとサトル君が言う。
「先輩だからって容赦しませんよ」
「…はい、すいません。」
如月先輩がペコリと頭を下げて退散する。
「北川~!あいつらラブラブすぎる~!!羨ましすぎる~!!」
「だからってからかわないの。
彼氏のほうマジであんたのこと殺っちゃいそうじゃん。」
「ですよね~」
後ろから先輩たちの声が聞こえるなか、サトル君はため息をする。
「なんでお前って…」
「えっ?なに…?」
「いや…べつに。」
彼はそう言って、黒鉛筆でリンゴに影を作る。
あっ、さっきよりリンゴがカッコよく見える。
「いいなぁ…私もサトル君みたいに絵上手になりたい。」
「上手じゃん」
「えっ!?どこが!?このへっぽこリンゴ!?」