赤ずきんと狼。
「だって…!!…だって、私がサトル君と別れそうになったとき
…荒月のこと考えてたんだもん…。」
「は?」
狼が眉間にしわを寄せる。
「いや…あのね、なんか…上手く言えないけど…
私こんな事でくよくよしちゃいけないって…」
戸惑う私に狼はため息をついた。
「いちいち俺と比べんなよ」
「…ごめん」
だけど、少しでも荒月の気持ち分かろうと思って…。
「そういうのって体験してみねぇと分かんないことだ。
そのときが来ない限りお前には分かんないよ。」
そうですよね…。
私は狼の悲しみが分からない。
何も知らない私は分かっちゃいけないんだ。
でも、そんな断定されても
―認めたくない。