赤ずきんと狼。
静かな温かい空気に目が覚める。
体を起こすと隣で荒月が寝ていた。
荒月も唸りながら起きた。
「ごめん!起しちゃった?」
「べつに…。」
私は掛け布団代わりになっていた荒月のブレザーを荒月に返した。
「ありがとう…。」
「いえ」
狼は大きく欠伸をした。
「ねぇ…。」
「ん」
「変なことしてないよね?」
「……。」
狼が無言になるので不安になる。
「したの…?」
「きたねぇマネはしなかった」
「…じゃあ、何かしたの?」
怯える私に荒月はぶっきらぼうに立ち上がった。
「べつに」