赤ずきんと狼。


北側先輩は一切、顔色を変えずに言った。


「かわいそぉー」


その言葉にずきんっと心が痛む。


「おぃ、そんな言い方ないだろ!!白杉ちゃんだって傷ついてるんだから。」


すかさず如月先輩がフォローしてくれたが北川先輩はつんとした声で言う。



「はぁ?何それ、振られた身にもなってみなさいよ。


自分の好き勝手で相手を振り回すんじゃないよ。」



彼女はそう言ってから、準備室に行ってしまった。



北川先輩・・・。


私の隣で申し訳なさそうに如月先輩が謝った。



「ごめんなぁ・・・。あいつマジで好きだった彼氏に浮気されてイラついてるんだよ。


あんまり気にしなくていいから。」



如月先輩はそう笑ってくれたけど、私は北川先輩のことが気になって準備室に向かった。


「先輩・・・」


準備室の棚から絵具をあさっている先輩に私は勇気を出して声をかけた。



「なに?」



北川先輩は冷たい声で返事をする。



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