赤ずきんと狼。
俺、狼じゃないよ。
図書室で本の整理をしている姿を見て心が痛む。
俺は公園で何がしたかったのだろう。
忘れようとして、結局は忘れられていない。
そんな一ヵ月じゃ忘れられないか。
席も隣だし委員会も一緒。
そうそう上手くいくもんじゃないな。
白杉は一番上の段の本を取ろうとしている。
だが、あいつは背が足らなく背伸びでも届いていない。
俺はすぐにその本を取ってあげた。
「あっ・・・ありがとう」
彼女はうつむいて礼を言った。
その姿を見て、俺は確信した。
忘れられるわけねーだろ。
お前、俺が中学のとき今と同じ図書室で言った言葉を覚えているか?
その言葉、お前にはどう届いた?
―白杉はそれに答えるように口を開いた。
「あっ・・・あの・・・っ!!」
―END―