赤ずきんと狼。
自覚…なかったのかな?
「なんか人に付けられているような気がして…」
「人?」
そんな気配、一つも感じない。
すると、急におかしな風を感じる。
風?
いや、寒気。
背筋が凍るような恐怖に襲われる。
「どうしたの?」
急に立ち止まる私にサトル君は振り向いて不思議そうな顔をする。
「なんでも…ない。」
私は歩き出す。
前にも感じた冷たい空気。
…奴だ。
奴が近くに居たんだ。
「ニャ~ゴ」
目の前で黒猫が気持ち良さそうに鳴く。