赤ずきんと狼。
「おい、荒月。皆に挨拶をしろ。」
担任は怯むことなく単調な声で言う。
これはこれはどっかの中学の先生とは違いますねぇ。
やはり高校の先生ってこういうちょっと荒れ気味な生徒の対応に慣れてるのかな?
「挨拶なんていらねぇだろ。名前だって今あんたが言ったからもう伝わった。」
そう言って、狼は机に伏せて寝る。
こいつ、どんだけ寝るんだよ。
でも…
「ぷっ…」
私はつい笑ってしまった。
狼らしいや。
新鮮味あふれていたこの教室が懐かしい空気に包まれる。
皆は笑いこぼした私を見て目を丸くする。
「バーカ。」
狼だけが私を見て小さく笑っていた。
なぜだろう。
狼の登場でまた学校が楽しく感じそうだ。
って…予想するのは早すぎたけどね・・・。