赤ずきんと狼。
「違う。」
我に返ってからはもう遅かった。
あっ…ごめん、八つ当たりだ。
狼はカチンっと来たように怒鳴った。
「ああ!?八つ当たりじゃねぇか!!カレシに振られたからって俺を殴るんじゃねぇよ!!」
「振られてなんかない!!」
私も怒鳴った。
負けたくない。
「振られて…ないのかよ…。」
狼は眉間にしわを寄せる。
「振られてない。別れてなんかないよ。」
狼は私のきっぱりした言葉に舌打ちをする。
「あー!!バッカじゃねぇの。いい加減気付けよ!!」
狼は面倒くさそうに頭をぼりぼりと掻く。
「お前、あいつに遊ばれてんだよ!!!」