赤ずきんと狼。
取り残された私たち、
その空間は一気に静けさに包まれた。
「結依…」
「なに?サトル君…」
「ごめん…」
「ううん、大丈夫」
「…今日は帰ってくれ」
「え…?」
その言葉の意味が分かっていた。
ここで帰ったら彼と離れてしまう。
「…一人にしてくれ、頼む」
でもそんなこと言われたから言い返せられないよ…。
「じゃあ、安静にしててね、バイバイ」
私はわざと屈託のない笑顔を見せてその場から立ち上がった。