赤ずきんと狼。



「ああ、じゃあな」


彼もかすかだが微笑んでくれる。



私の足は震えていたけど、


彼にバレないようにと力を込めて歩いた。


すぐに近付いてきたドアが憎らしい。




私がドアに手を掛けると


彼がいつもとは違う優しい声で



「ありがとな」




と言った。






私は彼の顔を見ることができず、



病室を出てからその場に泣き崩れた…。









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