赤ずきんと狼。


私のことに気づいたサトル君の隣にいる友達は


「今、お前のカノジョ通ったぞ?」


って言ってくれたが、そのあとのサトル君の返答は聞こえなかった。




振り向いてくれなかった…。





チクリと胸がさされる。



私は胸のあたりの服をギュッとつかんだ。



―泣かない。


泣いちゃダメ。




ここで泣いたら、カッコ悪いもん。



私は唇をかみしめた。



私、”泣き虫”になんかならないから。



そう心の中で誓う。



< 65 / 171 >

この作品をシェア

pagetop