赤ずきんと狼。
「最近、よく咲と会うよ。
昨日もメールしてたでしょ?」
私は北川先輩の言葉をかき消して、明るい声で言った。
流本は”ああ”と歯切れの悪い声で言った。
「もしかして俺が咲にメールしてたときお前もいたの?」
「違う違う、そのときは電話してたの。」
「…そっか。」
「咲、メール返すの遅かったの私のせいだよ。」
「あはは」
そう言って、笑うが彼にいつもの元気がない。
耐えきれなくなって私は彼に問う。
「ねぇ、何かあった?」
「何が?」
彼はいつものケロッとした顔で私を見る。
「いや…何もないならいいけど…」
「おう!俺はバリバリ元気だぜ~!」
彼は元気を私に伝えたかったのかそうやって宙に向かって叫んだ。