赤ずきんと狼。



「サトル君…。」



昼休み、私はサトル君がいる教室に足を踏み入れた。



サトル君はちらりと私を見て、また目をそらす。



私は制服の裾をギュッとつかんだ。




「話があるの…来て…」



「俺は話なんかない」



ぴしゃりと言われて、私の手は震えだした。



ダメ…逃げちゃダメ。



言わなきゃ…ちゃんと前も向いて…



「だけど!…私は話があるの!!!!」


声が裏返った。



しかも、大声を出してしまい、教室にいた生徒はこちらを振り向く。




皆の注目を受けて耐えきれなくなったのかサトル君は立ち上がり教室を出た。




私はそのあとを追いかけた。





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