赤ずきんと狼。



人気のない廊下は少し寒気がした。


薄暗くサトル君の顔も暗く見えた。



「何?話って」


冷たい視線のサトル君。



その冷たい声に私は声が出なくなる。



「あの…あのね…」


「…授業始まっちゃう」


追い打ちをかけてくる。



私はギュッと手を握り締めて涙を堪え、彼を見た。



「あの…私、まだサトル君のことが好き!!」



やっと言えた言葉、それをサトル君はばっさりと切った。



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