大嫌いでも、大好きだから。


多分私はその時、
世界で一番自意識過剰だったのだと思う。

梓も私の事が好きなのかも。
なんて勘違いしながら、告白して。


結局、彼の口から出た言葉は。


「俺は好きじゃない」
「……え?」
「だからこれからはもう、俺に近寄るんじゃねぇよ」


その時初めて、
彼は冷たい言葉と瞳で私を拒絶した。

その日から今に至るまで、
梓はずっと私を嫌っている。

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