大嫌いでも、大好きだから。


「西野ってば酷いヤツ」
「う、うん……」
「しーちゃん、あんなヤツは無視するのが一番だからね?」
「ん…………」

鈴は苛立ったように梓の背中を睨むと、
すぐに私の顔を覗き込む。

私はただ下を向いて、黙ったままでいた。


分かりきっていた事なのに。

鈴と同じ様に挨拶してもらえるかも。
なんて甘い期待を抱いているなんて。


自分はどこまで馬鹿なのだろう。

< 8 / 50 >

この作品をシェア

pagetop