大嫌いでも、大好きだから。


「じゃ、わたしも教室に戻ってるよん」

鈴はふわりと笑いながら手を振り、
私のそばを離れた。


ルンルンに彼女が歩くたびに、何人もの男子生徒が振り返っているのを、
恐らく鈴は知らない。


私は小さく呟いた。



「梓……」




そう。
私の好きな人は、私の事が大嫌いだ。


最近の話ではない。
もうずっと前から。


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