恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
それからそのままソファーに手を繋いで座った。
「あ、そうだ。いつも使ってるお店って誰のおじさんの?」
俺の質問に
「ん?、香奈枝だよ」
「はい?」
今、香奈枝って言った?
香奈枝・・・もしかして・・・
「富谷 香奈枝。知ってる?」
知ってるも何も、俺たちが別れることになった原因じゃねーか!
「え、まあ・・・」
「私たち・・・未那と香奈枝と私なんだけど、1年生の頃からの友達なんだ」
へ?友達?
「2年生になってクラスが別れちゃったけど、今でもお昼は一緒に食べたりするよ?」
あ~、なるほど。
そりゃ、富谷知っててあたりまえだわ。
「俺と付き合ってる事も・・・」
「うん、知ってる」
やっぱり・・・。
洸一のことは未那からいくらでも聞けるしな。
『そのうち分かるわよ』
の意味がやっと分かった。
「香奈枝もあることないこと噂されてて・・・すごくいい子なのに」
はい?いい子?
・・・俺には悪魔にしか見えませんでしたが?
「今度ちゃんと紹介するね」
「う、うん」
純の笑顔を見ていたら・・・言えねぇよ。
しかも・・・あんまり紹介されたくない。
「ところでさ」
「うん?」
「今日タクシー乗るところとか、一緒にいるところとか、純が暁って呼んでるのとか・・・周りに気づかれてると思うんだけど・・・」
「えええええ!?」
えええええって、純ちゃん。
あんなに廊下で『待ってて!』って叫んでれば、気が付かれるでしょうが。
「ど、どどどどうしよう」
おろおろしてる・・・。
「ばれたら嫌なの?」
俺はバレた方が今後付き合いやすくていいんだけど。
純が他の男に告白とかされちゃうと困るし。
俺のだって胸張って言えるし。