恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
香奈枝は、なれたようにお店の隅にあるテーブル席にいく。
「早瀬君こっち」
俺は悠人さんと呼ばれる人に軽く頭を下げ、香奈枝の前に座る。
大きな窓からは俺たちがいた場所が見下ろせる。
「へぇ~、ここからさっきの場所が見えるんだな」
「そう、でも下からは私たちの姿は見えないようになってる」
「なるほど」
少し話をしたところで、悠人さんが声をかけてくれた。
「香奈枝と・・・お名前は?」
「あ、早瀬です」
振り返って答えると
「早瀬君は何飲む?」
と聞かれた。
「え?」
香奈枝を見るとメニューを渡してくれる。
「今日は付き合ってもらったから、何かおごるわ」
「え、・・・いや、それは・・・」
なにか企んでる?
「何もしないから、今日はおごられてよ」
そうか。良かった。
「じゃ、コーラ」
「了解。悠人さん!コーラとミルクティーお願いします」
「はいよ~」
改めて香奈枝をみると、結構可愛いんだな。
・・・・・・いやいや、そうじゃなく。
「お前さ、何でこんな時間にここに来てるの?親は?」
一瞬聞いてはいけなかったかな?と思ったが、言っちゃったし・・・ま、いいか。
俺の質問に少し悲しそうな顔をして言う。
「父親が女を家に連れ込んでるのよ」
「はい?」
なに?父親が?女連れ込んでる?
なんだそりゃ。
びっくりしている俺に
「びっくりでしょ?」
ふふっと笑って答える。
「・・・また、冗談?」
疑わしい俺の顔をみて
「冗談だったら・・・いいのにね」
また悲しそうな笑顔で答えた。