恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
香奈枝は俺をみると、
「転んじゃった」
ニコッと笑って言う。
んなわけねーだろ!?
俺を馬鹿にしてんのか?
よく見ると靴もはいていない・・・。
「何が・・・・あった?」
俺の言葉に体がビクリと反応する。
「なん・・でも・・ない」
声が震えているのが分かった。
「何でもないわけねーだろ!」
思わず大きな声がでてしまう。
「・・・血?」
つかんでる香奈枝の制服の袖口に付いている赤いもの。
・・・間違いなく血だ。
「お前・・・本当に・・何・・」
言いかけたとき
カラン。
お店のドアが開く音がして
「香奈枝!」
悠人さんが出てきた。
「「悠人さん」」
悠人さんは俺たちをみて・・・と言うより俺をみてびっくりしていたようだったが、
「とにかく、無事でよかった」
と、香奈枝の背中に手を回す。
無事?
顔が腫れてて、靴も履いていなくて、血が付いてて、無事?
「早瀬君、すまなかったね。びっくりしただろう」
「い、いえ」
「今日はもう帰ってくれないか」
悠人さんが言う。
確かにそうだろう。
帰ったほうがいい・・・・でも
「俺も一緒に行ったらダメですか?」
なぜか俺は冷静だった。
俺の一言に
「何を聞いても、香奈枝と友達でいてくれるかい?」
悲しそうに微笑む。
「はい」
「わかった。・・・早瀬君も入りなさい」
悠人さんは俺たちをお店の中に入れた。
なんだろう・・このざわざわする気持ちは・・・。