恋〜彼と彼女の恋愛事情〜


「その時好きだった男の子だったみたいだから、どんな状況で見られたのかはなんとなく分かったけど・・・『汚い』って言われたらしいんだ」

・・・なんだよ。

・・・なんなんだよ。

「それから、男の子とは付き合わなくなった・・・父親から逃れられない限り彼氏は作くらないって言ってたから・・・早瀬君を連れてきたときは大丈夫かよって思ったけど、彼氏じゃないみたいだしね」

・・・ああ、そうですよ。

どうせ俺は彼氏じゃないですよ・・・って。

ふてくされんな!・・・俺!!

「香奈枝は人の世話を焼くからさ、未那ちゃんと翔太君とか純ちゃんと暁君とか、内緒にして貸して欲しいって・・・・ここ使ってたけど、早瀬君知り合い?」

え!?そうだったのか。

「あ、はい。未那と暁は幼馴染です」

「そうか。それで早瀬君とも知り合いになったのか」

悠人さんは、うん、うんと何か納得しているようだ。

未那と暁も利用していたとは・・・・・今度聞いてみよう。



その時香奈枝が戻ってきた。

「香奈枝、大丈夫か?」

悠人さんが心配そうに聞く。

「うん。ありがとう。少し落ち着いたから大丈夫」

「そうか」

俺の隣に座る香奈枝にいつものミルクティーを出す。

「ありがと」

お礼を言って一口飲んだところで

「・・・今日は女と別れたらしくて、不機嫌最高潮だったわ」

痛々しい顔。

「いつも顔はやらないんだけど、今日は止められなかったみたい」

「そうか・・・」

悠人さんは呟くように頷いた。

そして

「ちょっと、買出しに言ってくるから」

そう言って店を出て行った。

は!?買出し?

「・・・お父さんの所に行ったんだと思う」

香奈枝が呟いた。

「いつも、暴力を受けた日は行ってくれるの。それから3日くらいはお酒はやめるんだけど・・・また飲み始めちゃう・・・その繰り返し」

なんだか香奈枝がすごく小さく見えた。

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