恋〜彼と彼女の恋愛事情〜


洸一が言った「気になる女くらい いるだろ?」の言葉。

屋上では「いねぇよ」と言ったが、実は・・・いる。

同じクラスの川上 純。





あれは俺がまだ高校に入って間もなかった時のこと。

バスケ部で練習をしていたら、ボールが外にでてしまった。
急いで取りに行くと、グラウンド脇にある花壇に入って花を潰してしまっていた。

『うわっ、まじ、やべぇじゃん』

そう思って、簡単にだけど直そうとしている時に、

「何してるんですか?」

女の人の声がして、
ハッとして振りかえる。
そこには、一人の女子生徒が立っていた。

髪は肩までのストレートで目は大きめの二重だ。


「あ、ボールが花壇に入ってしまって、花を潰してしまって・・・」

彼女はひょこっと花壇を見ると

「あらら・・・」

と呟いて、もっていたバケツから小さなスコップを取り出して直し始めた。


「ここの花壇、グラウンド脇にあるから良くボールで潰されてしまうんですよね」

と少し困ったような笑顔で俺を見る。

「あ、そうですか・・・すみません」

思わず謝ってしまった。

そんな俺をびっくりしたような顔で見てから、

「いえいえ、わざとではないので気にしないで下さいね」

にこっと笑って

「それに、直そうとしてくれてたでしょ?ありがとう」

お礼を言われたりして・・・あ、笑顔が可愛いかも・・・。


その時の笑顔が本当に屈託ないもので心に残った。

着ていたジャージに『川上』と書いてあった。

それから、なんとなく気になり出して、見掛けると目で追うようになっていた。







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