恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
それから何故か週に2,3回一緒に付き合ってくれると言う。
勉強を教えて欲しいとお願いしたら、快く引き受けてくれた。
本当にいい人だね。
私は早瀬君に会うのが楽しみになっていた。
その日はすごい土砂降りで、嫌な気がしたけど、とりあえず家に戻ることにした。
そっと家のドアを開けると
「香奈枝か?」
うわっ、帰ってきてる。・・・雨だったから仕事早く終わったのかな。
「う、うん。ただい・・・」
帰りの挨拶も途中に髪の毛を引っ張られる。
ヤバイ・・・もう、酒乱に入ってる・・・。
逃げ出せない。
「てめぇのせいで女に振られた」
さ、最悪・・・。
女と別れた後は今まで以上にひどい暴行を受ける。
・・・体だけじゃなく・・・顔まで・・・。
どうしよう。
どうしよう。
その時、携帯がなった。
と、同時に手が緩む。
今しかない!
私は父親を思いっきり突き飛ばし靴も履かずに飛び出した。
「香奈枝!コノヤロー!!」
私はただ走って逃げた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
途中屋根のあるところで、ポケットに入っていた携帯を開く。
早瀬君からだ。
・・・今日は会えないな・・・。
<行けなくなった>
とメールをして、今度はゆっくり歩き出した。
なんでこんな目にあわなきゃならないの?
・・・何か悪いことしたかな。
小さい頃から考えていたことだ。
出口のない迷路のような感情に押しつぶされそうになる。
自分で逃げ出さない限り、誰も助けてはくれないから、泣くのも喚くのもやめた。
いったい、いつまでこんなことが続くのだろう。
考え事をしながら無意識で悠人さんのお店に向かっていたらしく・・・
「おい!」
腕を引っ張られた。