恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
着替えている間、話し声が聞こえてきたから、悠人さんが父親のことを話してることはなんとなく分かっていた。
母親のことも話をしていた。
・・・え!?中学の時のその話もしちゃうの?
嫌だよ。
そんな話聞かせないでよ。
早瀬君が困っちゃうでしょ〜。
部屋から出るに出られない・・・。
あ、未那と純の話になったから・・・今行こう。
部屋をでると悠人さんが心配そうに声を掛けてくれた。
「大丈夫」
これは本当。
久しぶりに顔を殴られたからちょっとあせったけど、今は落ち着いた。
温かいミルクティーを出してくれる。
おいしいけど・・・口が切れていて痛い・・・。
「買出しに行ってくる」
その言葉に、あ、父親に話しに行ってくれたんだなって分かった。
分かっていない早瀬君にも説明した。
その後の言葉に驚いた。
「俺の家に来るか」
な、なんですとー!
来るかってことは、一緒に住むってことよね?
・・・いや、いや、ダメよ。
・・・ダメダメ。
「部屋なら沢山空いてるから心配するな」
いえ、違いますよ?
部屋数なんて心配してませんよ?
「・・・どういう理由で?・・・殴られた顔を見たから?」
一時的な感情ならやめて欲しい。
いくら高校生活を守ってもらったところで、また卒業すれば父親のところに戻るしかなくなるから。
「それもある」
「それも?」
父親は私をストレス解消の道具としか見ていないことくらい、もうとっくに分かってる。
だけど、学生の私にどうしろって言うのよ。
悠人さんに言われてなんとか高校だけは卒業したいと思ってるのに・・・。
「お前さ。親から愛情って感じたことある?」
愛情・・・どんなものなのかな。
母親も父親も私のことは無関心だったから。
「でも、悠人さんはどう?」
早瀬君の言葉にハッとした。