恋〜彼と彼女の恋愛事情〜


「ああ?」

早瀬君が不機嫌そうに言う。

「父親に会いに行く?」

「うん・・・」

「なんで?」

「え・・・黙って出てきちゃったし・・・昼間ならお酒飲んでないと思うから・・・」

早瀬君は何か考えている様子だったが

「分かった。・・・でも運転手をつけるから・・・」

「え、いらないよ・・・買いたいものもあるし」

私の言葉に困ったような顔をしたけど

「・・・わかった、その代わり何かあったら連絡しろよ?」

と言って、送り出してくれた。


実は今日は日曜日、そして父親の誕生日。

私は父親の所に行く途中で、紳士もののハンカチを買った。

お酒を飲まないとまじめな父親はハンカチは必ず持っていっていた。

喜んでくれるかな・・・。




少ししか時間は経っていないのに、家のドアまでくるとなんだか妙に懐かしい感じがした。

玄関のドアを開けると

「え〜、うそ〜」

女の人の声がした。

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