恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
あ・・・・まずいところに来ちゃったかも・・・。
また、出直そう。
ドアを閉めようとしたとき
「香奈枝ちゃんって、あんたの子供じゃないの?」
え?
女の人との会話が聞こえてきた。
「そうだよ」
なに?
「じゃあ、誰の?」
「知らねぇ。あの女が俺が浮気ばっかりするからって、適当な男と浮気してはらんだ子供だったんだよ」
・・・・?
「それ、知ったのいつよ?」
「あ〜、あいつと離婚する少し前。喧嘩してたら「香奈枝はあんたの子じゃないわよ」って言いやがって・・・あの女が出て行ってからDNA鑑定してみたら見事に他人だったってわけ」
「いや〜、元奥さん凄いことしたわね」
「感心すんじゃねーよ。・・・そんな他人の子供育ててる俺の身にもなってみろよ。・・・出て行ってくれてホットしてんだよ。香奈枝にはもう会いたくねー。酒乱の振りするのも疲れたしよ・・・。」
私は買ったハンカチを置いてくることも出来ず、歩いていた。
あ、ここ小さい頃家族で一緒に来ていた公園だ・・・。
二つあるブランコのひとつに座る。
小さい頃見た景色と何も変わらない公園。
・・・・父親の言葉がずっと頭から離れない。
『俺の本当の子供じない』
『もう会いたくない』
・・・私は・・・なんなの?・・・なんの為に・・・。
どのくらいの時間ブランコに座っていたんだろう。
「何やってんだよ、こんなところで」
顔を上げると
「はや・・・せ・・くん?」
少し息を切らせた早瀬君が立っていた。