恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
「おい」
「私なんて、生まれてなんてこなければ良かっ・・・・」
「おい!」
腕をつかまれてブランコから立たされた。
「しっかりしろ!」
「だって・・・だって・・・ひどいよ。私は道具じゃないよ・・・」
早瀬君が・・・見えない。
声は聞こえるのに・・・腕をつかまれる感触はあるのに。
「分かってるよ」
「私だって傷つくんだよ。・・・そんなに強くないよ・・」
「分かってるって言ってるだろ!?」
早瀬君に愚痴っても仕方ない。
・・・だけど言わないと。
誰かに言わないと・・・暗い闇に引きずり込まれそうになる・・・。
「愛されないの・・・あたり・・まえ・・だね」
「何言って・・・」
「もう・・・誰も・・・いないよ」
私にはもう、何も無いよ・・・。
ふわっと温かいものに包まれて
「ふざけんなよ・・・俺がいるだろ!」
ぎゅーっと抱きしめられる
「俺がお前の側にいるだろ?・・・忘れんなよ・・・。」
・・・側にいる?
でも、あなたもいつか私から離れて行くんでしょ?
「痛い・・・よ・・早瀬君」
「うるせぇよ」
彼は私を抱きしめたまま離さなかった。