恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
「早瀬君」
「なに?」
「・・・私・・・お父さんの・・・」
言いかけて言葉がとまる。
「うん?」
なんか変だな・・・。
「本当の・・・子供・・じゃ・・・ない・・ん・・・・だって・・っ」
・・・え?
「は!?・・・・お、おま・・」
香奈枝を見ると・・・・泣いて・・る?
「お母さんがお父さんの浮気の当てつけに、作った子供なんだって」
どんなことを言われても、厳しく接しても泣かなかった香奈枝が泣いてる・・・。
しかもなんか・・・おかしい・・・
「私は・・・なんなんだろう。・・・・生まれてなんてこなければ良かっ・・・・」
「おい!」
ち、ちょっとまて!
腕をつかんでブランコから立たせる。
「しっかりしろ!」
「だって・・・だって・・・ひどいよ。私は道具じゃないよ・・・」
「わかってるよ」
香奈枝、俺が見えてるか?
・・・俺を見ろ!
「私だって傷つくんだよ。・・・そんなに強くないよ・・」
「わかってるって言ってるだろ!?」
俺のほうを見ろよ!
飲み込まれるな!
「愛されないの・・・あたり・・まえ・・だね」
「何言って・・・」
「もう・・・誰も・・・いないよ」
俺は香奈枝を抱きしめた。
「ふざけんなよ・・・俺がいるだろ!」
・・・好きなんだ。
・・・俺は香奈枝が好きなんだ・・・。
「俺がお前のそばにいるだろ?・・・忘れんなよ・・・。」
「痛い・・・よ・・早瀬君」
うるせーよ。
離してなんてやらねーんだからな・・・。