恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
それからしばらく抱きしめてた。
ずっと、我慢してたんだな。
強くいなくちゃって自分に言い聞かせて・・・辛かったよな。
これからは、俺がいるから。
香奈枝の側に俺がいるから。
離さないからな。
少し落ち着いたところで、手を繋いで家へ帰った。
香奈枝は放心状態・・・何も話さないし、俺の言葉も聞いてるのか分からない。
「香奈枝、こっちにこい」
「え?ええ?・・・」
あ、驚いた・・・。
少し戻ってきたか?
「いいから来いって」
香奈枝の腕を引っ張ると一緒にベッドに入った。
抱きしめると体が硬くなっているのがわかる。
緊張してんのかな。
しばらくすると肩が震える。
「・・・・・っ・・・・うぇっ・・・」
泣いてんのか・・・。
辛かったよな・・・。
どんなに暴力を振るわれても、会いに行きたくなるような存在だったんだもんな。
香奈枝が握り締めていた袋の中には紳士物のハンカチが入っていた。
父親にプレゼントするつもりだったんだろう。
・・・それなのに・・・・俺が悪いんだ。
1人で行かせたりしたから。
・・・一緒に着いて行けばよかったのに・・・。
本当ダメな奴
ん?
・・・眠ったか・・・。
香奈枝が眠ったことを確認してから、家をでた。
「こんばんわ」
いつものように少し重いドアをあけると
「あ、いらっしゃい早瀬君」
悠人さんが迎えてくれる。
本当なら日曜日が休みなんだけど、俺が会いたいからと開けてもらった。
「何かあったのかい?」
いつものコーラをだしてくれる。
「うん・・・あの・・・」
俺の重い空気を察してくれたのか
「何でも聞いていいよ・・・」
と、優しく微笑んでくれた。