恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
俺は悠人さんに今日あったことを全部話した。
聞き終わると何か考えていたようだったが、話をしてくれた。
「弟はね、酒乱ではないんだ」
「・・・え?」
「奥さんが出て行ってから、香奈枝に暴力を振るうのに酒乱を演じていたんだよ」
そこまでするか?
「香奈枝は弟とは血は繋がっていない。女遊びの激しかった奴だったから、奥さんの復習みたいなものだったんだろう。・・・・相手は誰だかわからないらしんだ。酔った勢いで・・・って感じだったらしいから・・・。・・・ひどい話だよな。」
「・・・はい」
「そのことが分かるまでは、そこそこ可愛がってはいたんだよ。でも、許せなかったんだろうね・・・その怒りが本当なら奥さんに行くはずなのに、残った香奈枝にいったんだね。・・・馬鹿な奴だよ・・・本当の娘だと思って育てればよかったのに。」
香奈枝・・・。
「香奈枝はそのことを今日知ってしまったのか・・・」
「はい。・・・それと、紳士物のハンカチがあったんですが・・・」
悠人さんは深いため息をつく。
「今日は、弟の誕生日だ。・・・毎年ハンカチをプレゼントしてる」
そうか、だから今日会いに行くって・・・。
それなのに・・・。
悔しくて、めちゃくちゃ悔しくて拳を握る。
「すまないね、弟のために早瀬君にまで嫌な思いをさせて」
「いえ、・・・あ!」
「うん?」
「悠人さん、あの話、香奈枝の父親が承諾しましたよ」
「そうか!!」
悠人さんの顔が明るくなる。
「後はこっちでやってみるから」
「わかりました」
「早瀬君、ありがとう」
「いえ、じゃあ、俺はこれで・・・」
「うん、また何かあったらいつでも連絡してくれ」
「はい」
俺は家に急いで帰った。
俺の部屋のベッドに香奈枝が眠っているのを確認してホッとする。
風呂に入ってから、香奈枝を抱きしめて眠った。