恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
「香奈枝、体に気をつけて」
「お父さんも・・・」
「今まで・・・・・すまなかったな。・・・・幸せになるんだぞ?」
「うん、うん。わかった。必ず幸せになるから」
目に涙をいっぱい溜めて握手をした。
「お、おとうさん」
「なんだ?」
「大好きだったよ・・・ありがとう」
「・・・・っ・・・・」
父親の目からこぼれた涙。
ドアが閉まるギリギリまで、父親は香奈枝の手を握り締めて泣いていた。
その涙の訳も重さも、きっと2人しかわからない。
新幹線のドアがしまる。
俺たちは手を振ってお父さんを見送った。
香奈枝はしばらく新幹線が行った後を眺めていた。
「香奈枝・・・」
香奈枝は俺のほうを見るとニコッと笑った。
「行こうか」
差し出した俺の手を握り締めて
「早瀬君。ありがとう」
とお礼を言ってくれる。
お父さんにお礼を言うとか・・・本当に出来すぎてるよ。
香奈枝は優しくて強い。
後は俺だよな。
「俺がお前を幸せにしてやるよ」
俺の言葉に本当に嬉しそうに笑ってくれる。
「その幸せについていけるように頑張るね」
「おう」
俺たちは手を繋いでゆっくりと歩き出した。
この手を絶対に離さないから・・・。
~完~