恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
私達は屋上に向かう階段の踊場にいた。
「朝からすごい噂なんですけど?」
不機嫌そうに私をみる。
「・・・うん」
「昨日一緒に帰ったのって純でしょ?
・・・だから言ったじゃない。バレたら大変な事になるって!!」
「うん・・・」
私もこんな事になるとは、思わなくて。
「とにかく、純が彼女だって、なんとかバレないようにしないと!」
「え!?そこまでしなくちゃダメなの?」
ハァ、と溜め息をつく。
「あのね、沢田を含め、あの3人の人気は半端ないのよ」
「3人?」
「洸一、聡、暁の3人よ!」
「未那?」
「何?」
「3人と知り合いなの?
・・・・名前で呼んでたよ?」
私の言葉に、『あ、しまった!』
そんな顔をした。
「・・・純だけに言うけど、幼馴染みなのよ。
小さい頃は私の兄と一緒に皆で遊んでたくらい仲良かったの」
「へぇ!」
そーなんだ。
「中学になって、3人共凄くモテ始めてさぁ、私と仲良くなれば、あの3人と近付けるって思われて・・・それで嫌な思いをしたから、幼馴染みだとは言わないことにしたのよ・・・。」
「そうだったんだ」
「純なんて、人がいいからすぐにつけ込まれるのが、目に見えてるのよ」
未那は私の肩を掴むと
「純が、沢田を本当に好きで付き合うなら、翔となるべく協力するから」
私の事、心配してくれたから、反対してたんだね。
すごく嬉しかった。
だから
「未那、1ヶ月だけ」
お願いすることにした。
「え?」
「理由は聞かないで、1ヶ月だけ、バレないように協力して」
「純?」
「1ヶ月したら全部話すから・・・・・お願い!」
私の思いが伝わったのか
「・・・わかった」
未那は何も聞かずに、頷いてくれた。
私ね、未那と友達になれて本当に良かった。
ずっとずっと、大切にしていくね。
ありがとう。