恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
2人でお店に来るようになって3日がたった頃、お互いの家族の話しになった。
「沢田君は兄弟っているの?」
いつものお店で沢田君はコーヒー、私は紅茶を飲みながら話をしてる。
「ああ、6才離れた弟がいる」
「そっかぁ、6才下って言うとまだ小学生?」
「うん、5年生・・・家は父親がいないから、俺が父親代わりになってるんだ」
「そうなんだ。・・・大変じゃ、ない?」
「そうでもないよ。もう5年たつし、慣れた」
フッて優しく笑う。
お父さん代わりかぁ。
同い年なのにすごいな。
「・・・家は母親がいないの」
「え?」
「その代わり、8才上に姉がいるの。昨年結婚したから、今は別に暮らしてる。姉はずっと母親代わりをしてくれてたよ」
「へぇ、何か環境が似てるんだな」
そう言った沢田君は、とても優しい顔をしていた。
「そ、そだね」
ひょえぇぇ。
かっこいいなぁ。
ほんっとに反則だって、その笑顔。
みとれちゃうよ〜
「あ、川上さん今週の土曜日予定ある?」
沢田君の言葉にハッとする。
「え、特別何も・・・」
「じゃあ、デートしよう」
「え?・・・ええぇ!」
デ、デート!?
今、デートって言った!?
「そんなに驚かなくても・・・それとも俺とだと嫌かな?」
あれ?ちょっと落ち込んでる・・?
・・・・・そんなわけ・・・ないか。
「え?あ、ううん。私は嬉しいけど・・・沢田君はいいの?」
「なにが?」
あ、ちょっと機嫌直った。
「私なんかと一緒に出かけてもいいの?それに部活は?」
「部活は学校の記念行事で休み。・・・それと、『私なんか』とか言うなよ」
「で、でも・・・・・・」
「でも、じゃない。そんなに気にしなくていいんだよ。
土曜日デートしよう、な?」
そう言って私の頭を撫でてくれた。
「うん、ありがと」
沢田君の優しさがとても嬉しかった。
でも恥ずかしくて、下を向いちゃった。
きっと顔は真っ赤になってる。
この優しさもデートも罰ゲームの条件なのかな。
そう思ったら胸が少し痛んだ。