恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
「俺、ちょっとトイレに行ってくる」
お弁当を食べ終えた暁は、そう言って建物の中に入って行った。
舜君は鞄から何かを取り出して口に入れた。
その様子を見ている私に気が付いたのだろう。
にこっと笑って
「これ、薬。僕小さいころから心臓が弱くて、薬飲んでるんだ」
「え?」
驚いた。だって朝から一緒にいて全然分からなかったし。
本当に普通の健康な男の子にしか見えない。
「あはは、驚いたって顔してる」
「うん、びっくりした」
舜君は少し息を吐いて真剣な顔で話し始めた。
「僕さ、気が付いたときにはもう薬を飲んでて、入院ばっかりしてたし、友達も少なくて。この前学校の遠足で、水族館に来る予定だったのに、その前に受けた検査でOKが出なくて・・・だから、兄貴から一緒にって言われたときは、すごく嬉しかった。純ちゃん本当にありがとう」
舜君。
「私こそ。来てくれてありがとう」
暁と二人で来ると、どんどん好きになりそうで怖くて・・・舜君いたら少し紛れるかな・・・
なんてが軽い気持ちで誘ったのに、そんな自分が恥ずかしい。
「僕、邪魔じゃなかった?」
悲しそうな顔で聞く。
「全然!本当に楽しいよ」
ちょっとほっとしたような顔になって、
「純ちゃんに聞いてもいいかな」
「いいよ?なに?」
頷いた瞬間にとても真剣な顔つきになる。