恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
「僕は、兄貴の足手まといになってるって、思うんだ」

え?・・・声がでなかった。

小学校5年生で、家族の足手まといになってる。とか考えないよ普通・・・だって私がそうだったから。

「・・・・・どうして?そう思うの?」

舜君は泣きそうな顔で話してくれた。

「お父さんが死んでから、兄貴がお父さんの代わりをしてきてくれた」

「うん」

「いつも僕の為にやりたいことも我慢して、行きたいところも我慢して・・僕はいつ発作が起きるかわからないから誰かと一緒にいなくちゃいけなくて。・・・今日だって本当なら純ちゃんと2人でくるはずだったでしょ?・・・だけど僕も一緒にきちゃったりして。・・・これからもずっとこんな風に兄貴の荷物みたいになっていくのかなって・・・」

何で自分をお荷物とか・・・
そんな風に考えてほしくない。

「そっか・・・でもそれは違うと思うよ」

どう言えば伝わるかな。

「・・・違う?」

戸惑い気味の舜君に

「そう、違うよ。・・・瞬君はちゃんと自分の病気と向き合ってる、しかも家族のことも思いやれてる・・・それって凄いことだよね?」

「え?」

「そんな風に考えたこと無い?」

「無い・・・だって・・・いつも心配かけてばっかりだったし・・・」

もっと戸惑ってる顔をする。


「・・・私も同じ事考えた時期があったよ」

そう、今の舜君はあの時の私と一緒だ。

「私は・・・お母さんがいないの。小学校1年生の時に事故で死んじゃったのね」

目を見開いて私を見る

「そのときからずっと8歳離れてるお姉ちゃんが、お母さんの代わりをしてくれてた。・・・舜君のところと一緒でしょ?」

「うん」

素直に頷いてくれてほっとした。

「授業参観とか運動会とか全部お姉ちゃんが来てくれてた。お父さんは仕事で忙しかったから、あんまり来てくれなかったな。でも、それが当たり前だって思ってた。私にはお母さんがいないんだから、お姉ちゃんがやってくれて当たり前だって」


何も言わずただ聞いてる舜君。













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