恋〜彼と彼女の恋愛事情〜
「あいつ、あんな状態になって、なんで俺の事なんて心配してんだって・・・しかも『今まで沢山我慢してきたから、楽しみがまた少し伸びるだけだって』・・・笑うんだ・・・。」
もう、ダメ・・・涙が・・・。
「次の日、学校に行ったら、女の子が友達と話をしていて・・・『弟連れてくるとかありえなくない?』って、笑い話にしてて・・・。俺、どうしても許せなくて・・・その場で『じゃあ、別れてやるよ』って机蹴飛ばして、怒鳴った。・・・その子は泣いていたけど、そんな事どうでも良かった・・・」
もう、涙が止まらなかった。
「純・・・大丈夫?」
泣いている私に気が付いた暁が、心配そうに顔をのぞきこんだ。
「へい・・・き。・・・ごめん。泣いたりし・・・」
言いかけた時、ふわっと暖かいものに包まれる。
暁が抱きしめてくれていた・・・。
「泣いてもいいから、このまま聞いて?」
私は暁の胸に顔を埋めながら、小さく頷いた。
「純が舜も一緒に行こうって言ってくれた時、本当はすっげぇ嬉しかった。・・・だけど前のことがあって、素直に喜ぶことが出来なかった。・・・ごめんな?純の気持ち信じてあげられなくて・・・」
私は横に首を振った。
「舜も俺も、純に救われたよ。・・・本当にありがとう」
私の方こそ、暁と舜君に救われてる・・・。
ちゃんと暁の顔を見て言いたかった。
そっと体を離し、暁を見上げる。
・・・優しい笑顔。・・・大好き・・・。
「私こそ・・・話してくれてありがとう」
精一杯の笑顔でお礼をいうと、少し驚いたように目を見開いて・・・。
また優しい笑顔に戻って「参った」と呟くと、顔が近づいてくる。
私たちはそっと唇を重ねた。
少しはなれて、また触れる唇にもう頭が真っ白になりそうだった。
暁・・・。暁・・・。
何度も何度も心の中で暁の名前を呼んでいた。
暁・・・どこまでが本当のあなたの気持ち?
どこまで信じていいの?
抱きしめてくれたぬくもりも、交わしたキスも本当の気持ち?
苦しくて苦しくて、胸が痛いよ・・・。